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ヘッドホン選びと音作りの移り変わり2

前回の記事で新しいヘッドホンを導入、選定することになった経緯を書きましたが、今回はその中でどのようにして選んでいったかをお話ししたいと思います。

まず、前提として、これまでスタジオに標準的に置いてあることもあって、共通言語としてSONY MDR900STを使用してきました。
YAXIのイヤーパッドに交換したり、サウンドキャラクターを大幅に変えない範囲でアレンジはしていますが、学生時代から同じモデルを使っていますので、すっかり慣れたもので、その課題となるポイントもずっと把握して使い続けてきました。

よって、新しいヘッドホンではその課題の部分を克服できることを重視して選ぶことになります。
その観点で、まず今年のサウンドフェスタにてモニターヘッドホンの聴き比べをしてきました。
2日間参加した内の1日の半分くらいはそのために費やしたように思います。

何十個も試聴しましたが、その中で候補として残ったのは、ほんのごく一部だけでした。
具体的な製品として書き出すと、、、

・Focal Professional Clear Professional
・NEUMANN NDH20
・SHURE SRH1840
・SHURE SRH1540
・AUDIO TECHNICA ATH-M50x

この5機種でした。

これに後日、ヨドバシ梅田のオーディオコーナーでも多数試聴した結果、
・SENNHEISER HD650
・SENNHEISER HD800 S
の2機種も候補に加えて、絞り込んでいきました。

Focal Professional Clear Professionalは20万円もする高級機だけあって、流石のサウンドでした。
SENNHEISER HD800 Sも同様お高いだけあって、音のクオリティは高いです。

ですが、これらはいずれも開放型のヘッドホンです。
音は問題ありませんが、音漏れが問題になるシーンでは使用できません。
20万円出して、使えない状況がよくあるのではちょっとなぁ〜・・・ということで最初に却下になりました。

次に候補の中で一番リーズナブルなモデル、
AUDIO TECHNICA ATH-M50xは音のバランス的には全然仕事で使えると思います。
これまで使用していたMDR-CD900STと比べると、ミックス作業なども行いやすそうでしたが、他の機種と比べると、やはり値段の差なのか解像度が劣る印象で、今回新しく買うモデルとしては選ぶことはないな、と却下になりました。
ただ、ある程度の数を買わなくてはならない、ミュージシャン側のモニター用としては有力候補だと思っています。

これで残るは
・NEUMANN NDH20
・SHURE SRH1840
・SHURE SRH1540
・SENNHEISER HD650
の4機種ですが、正直サウンドの好みから言えば、SHURE SRH1840かSENNHEISER HD650が好みでした。
音のバランス、明瞭度、ヘッドホンの付け心地、全部甲乙つけがたい素晴らしいものだと思います。
上述した候補から外す大きな要因である開放型である点がネックにならなければ、この2機種のどちらかを買っていたかもしれません。(今後お金に余裕ができたら、やっぱり欲しいよな〜と今でも思っています)
しかし、やはり密閉型である点を優先して、NEUMANN NDH20かSHURE SRH1540のどちらかにしようということになりました。

そして、ここで唐突に発表されたのがSONY MDR-M1STでした。
ぶっちゃけこれには期待大で、ヘッドホンを購入するのを一旦保留にしたほどです。
2ヶ月待って、店頭に展示機がやってきたところで、上記の2機種と合わせて試聴し、最終判断しようとなりました。

しかし、正直MDR-M1STは期待外れと言わざるを得ませんでした。
確かにハイレゾを謳うだけあり、高域の解像度、空間の表現力など素晴らしいのですが、中域から中高域のあたりに独特の癖が感じられるのです。ラジカセでさえ再生能力が高い周波数帯にこういった癖があると、音作りが非常に難しくなります。ちょっと僕の仕事では使いづらいということで却下になりました。

最後はNEUMANN NDH20とSHURE SRH1540の間を行ったり来たり。1時間近くそうしていたでしょうか?
割と空いている時間帯を選んで行きましたが、店員さんからはなんだこいつ???と思われたかもしれません(笑)

結局、開放型のSRH1840にはない低音の癖が、SRH1540には存在したこと。
お金に余裕が出来たら、今回とは別にSRH1840を買いたいと思ったことから、最終的にNEUMANN NDH20の導入に至りました。
今年の5月に導入したモニタースピーカーNEUMANN KH310Aに音の傾向が似ていることも選択を後押ししました。

こうしてうちにやってきたNEUMANN NDH20。
既にちょこちょこ仕事で使っていっています。
これから10年、20年と一緒に戦っていける相棒になってくれると嬉しいと思う反面、また数年後にはさらに上のヘッドホンが出たりしないかな〜と、音響機器の発達を楽しみにしています。

なお、今回ヘッドホンを多数聴いていて思ったのが、別に新しいから、高いからってだけで、モニター用としてもリスニング用として良い音がするわけではないのだな、ということでした。SENNHEISER HD650なんかが顕著で、後継機よりもこっちの方が良いなというのが正直なところ。AUDIO TECHNICA ATH-M50xも同社の上位機種よりバランスが良く使いやすそうでした。

やはり信じるべきは価格でも新しさでもなく、自分自身の耳と感性なのだなと思います。
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ヘッドホン選びと音作りの移り変わり

先日NEUMANNのモニターヘッドホンNDH20を導入した記事を書きましたが、今回はそのヘッドホンを選ぶに至った経緯について少々書いてみたいと思います。

音楽には時代によって流行がありますが、当然それに伴って楽器の音作り、バランスも変わってきます。
数年前に盛り上がっていたEDMなどに代表されるように、最近はかなりの低音まで音のレンジが広がってきたように感じていました。
これはYouTubeなどでラウドネスノーマライゼーションが導入されたり、過剰な音圧を求める方向から、音のダイナミクスを損なわない音楽が本来あるべき形に戻ろうとする動きとは無関係ではないと思います。

人間の聴覚特性上、低音は中域、中高域の音と比べ、同じ音量感を得るためには、より大きな音を出さないとなりません。
等ラウドネス曲線というものが有名かと思いますが、こうしてグラフで見ると一目瞭然ですね。
3〜4kHzの最も聞き取りやすい周波数と比べると、100Hz以下の低音は遥かに大きなエネルギーが必要なわけです。

等ラウドネス曲線


デジタルレコーディングには当然レベルの上限がありますし、マキシマイズによって音圧を稼ぐ際に低音はリソースを多く消費するわけです。
しかし、YouTubeや定額音楽配信サービスなどがラウドネスノーマライゼーションを導入し、低音を削ってパッと聴きの音圧を稼いだところで、どうせ音量を下げられてしまうため、音楽が本来持つ周波数、ダイナミクスのレンジをもっと広く使おうという動きが生まれてきたのでしょう。

以前までと比べ、低音がガッツリ入った音源が増えてきましたし、こうなってくると今まで使用していたSONY MDR-CD900STでは、もう正しいモニタリングは出来ないな、というのが私の判断でした。
低音が鳴ってないわけではないですが、判断に迷うことが多く、勘に頼りながら作業している面もあったわけです。
そこで、もっと広いレンジでしっかり聴けるヘッドホンを!!ということで、新しくヘッドホン選びをすることになったわけです。

ここからはその中で色々聴いたヘッドホンの個々の印象について紹介し、どうして最終的にNDH20を選択したのかを書いていきたいと思いますが、少々長くなりそうなので、次回の記事に回そうと思います。

ボイスサンプル制作、そして声優デビュー

久しぶりのブログ更新です。
書くネタが無かったというわけではなく、単にサボっていただけ。

機材も更新されていて、ホームページも更新しないとなのですが、それも滞っている状態です。
ツイッターに書くと、ついついそれでそのまま忘れがちなんですね。

さて、ちょくちょく書いているボイスサンプル制作業務に絡んだ話題を一つ。

声優事務所、あるいはアニメ作品などの公募オーディションの時に、よく声優志望の方から依頼をいただきまして、ボイスサンプル制作を行うのですが、ここ2〜3年、うちに来ていた方の中から声優としてデビューされている方が何名も出てきています。

まだ、大きな役を掴んで人気声優に!!
みたいなお話は聞きませんが、たまたま見ていたアニメのエンドクレジットで名前を見ることがあるくらいなので、今後そういった展開も期待できるのかな、とワクワクしています。

これまでにもブログで書いてきたことではあるのですが、
うちでは単に音を収録するだけでなく、演技やナレーションに対するディレクションも行っており、
これが好評なようで、何度も繰り返しお越しいただいている方もいます。
東京で声優としてデビューされてからも、わざわざ依頼してくださる方もおり、大変光栄に思っています。

こうして今後も声優、ナレーターを目指す方の後押し、力添えをしていきたいと思います。
大阪で声の収録をされる際は、是非ご依頼下さいませ。
ご連絡は下記URLのWEBページのメールフォームからお願い致します。
https://accel-studio.com/

ピッチ補正は本当に音楽に必要なのか?

今回の話題はピッチ補正について。
昨今はリリースされる音源の多くで、歌のピッチ補正が行われています。
使用されるのはAuto-TuneやMelodyneが多いでしょうか。
私もボーカルレコーディング時やミックスの際によく行います。

で、議題として取り上げるのは、このピッチ補正の必要性について。

最早、歌手でも作編曲家でもレコーディングエンジニアでもない、
極々一般の音楽リスナーでさえ、存在を知っているピッチ補正ですが、
これは本当に必要な処理なのでしょうか?

私はそうは思いません。
確かにピッチ補正によって、音程は整うし、綺麗な歌を作ることは出来ます。
しかし、この作業はどれだけ丁寧に処置し、上手く処理したとしても、
歌手が歌に込めたニュアンスが削り落とされることがあります。
どこか人工的になってしまうと言えば、イメージは伝わるでしょうか。

理想を言えば、テイクつなぎだけで済ませ、極力ピッチ補正は行うべきではありません。
実際、私がレコーディングやミックスを担当した作品でも、
ピッチ補正なしで作った音源はたくさんあります。

十分な歌唱力をもったボーカリストであれば、普通に可能です。
そもそも90年代後半にAuto-Tuneが登場するまでは気軽に行える作業でもなく、
(すごく手間がかかるものの、やっている人はいたらしいですが)
逆にピッチ補正無しで通用する歌が歌えないと、デビュー出来なかったわけです。
むしろ自分の歌を作品として販売しようというのであれば、それが出来て当然と思います。

歌手やボーカリストと名乗る人に問いましょう。
ソフトウェアで原型を留めないほど補正しまくって、これが自分の歌だと誇れるでしょうか?
これが俺の、私の歌だ!聴いてくれ!!と思えるでしょうか?

私は歌で食べていこうという人にそんな風には思って欲しくはありません。
レコーディングに臨むなら、CDなり配信なりで自分の歌をファンに販売するなら、
ピッチ補正などの加工が不要なクオリティで歌えるよう、練習してください。

でも、ボイストレーニングを積み、十分に練習して歌唱力を高めて、
それでもレコーディング時にどうしても完璧に歌えないところがあった場合、
その時は気軽にそこのピッチ補正を依頼してください。
音程がズレたまま、音源をリリースする必要はありません。
私の全力をもって、可能な限りニュアンスを損なわないよう、修正します。
どうしても歌えないところは是非頼ってください。何とかします。



ピッチ補正とは本来そのようなものなんです。



誰でも気軽に歌手デビュー!
でも、下手な歌を聴かせるのは恥ずかしいから、全部補正しちゃえ!!
みたいな用途で使うためのものではありません。
「自分歌あまり上手くないんですけど、CD作りたいんで、歌の補正お願いします。」
と最初から歌を補正するつもりでレコーディングに臨むためのものでもありません。
最近、そういう姿勢でレコーディングに来る人多いですけどね。

ピッチ補正は音楽にとって必要かどうかと問われれば、私は間違いなく「ノー」と答えます。
ただ、限られたレコーディング時間の中で、完璧な歌が歌えるとは限りません。
そんな時の最後の手段だと思ってもらえれば幸いです。
間違っても歌は補正するのが当たり前、みたいに思わないでください。

というのが、私のピッチ補正に対する考え方、姿勢です。
とはいえ、実際仕事で頻繁にたくさんの楽曲のピッチ補正を行っています。
ピッチ補正ありきでレコーディングに来る方も多いです。
依頼段階で分かっていても別に断りません。

なぜか?

私がやらなくても、結局どこかの誰かがやることになるからです。
だったら、自分でやって納得出来るクオリティに仕上がる方がいいじゃないですか。
自分でこの修正なら許せる、と思えるところまで追い込めた方がいいじゃないですか。
だから、ピッチ補正の依頼もバンバン受け付けています。

でも、こういった私の考え方、理解していただけると嬉しいなと思います。

声優オーディション用ボイスサンプル制作 大阪

何度かこのブログにも書いていますが、
今年も某声優養成所の関連事務所への所属オーディションの時期がやってきました。

このオーディションは全国各地の養成所での審査員による一次審査。
各事務所がボイスサンプルと書類で審査する二次審査。
そして、二次審査を突破した人が、事務所の方と対面で行う最終審査を経て、
事務所に所属、声優デビューというものです。

毎年この時期はこの二次審査用のボイスサンプル制作依頼を多数いただくのですが、
一次審査の通過通知が届く前どころか、そもそも一次審査の前に、
前もって制作される方が随分と増えました。

これは3年ほど前に一次審査通過の通知が郵送で届いてから、
二次審査の書類提出期限までがあまりに短かったことがあって、
スタジオ収録が行えない人が続出したことに端を発している模様です。

この時は、私が知る限り一番遅い人では通知が火曜日に届いて、
その週の金曜日に必着ですから、当然スタジオの予約など間に合いません。
レコーディングの予約は普通はもっと前もってするものですので。
(うちの場合は遅くても2週間〜10日前くらいでしょうか)

その年は極端に期限が短かったのですが、
他の年でも通知から提出まで1週間程度ですので、余裕があるとは言えず、
それに加えて通知が郵送のため、届くタイミングに差があり、
早くに到着した人はまだスタジオの残っていた空きを予約できても、
遅めに到着した人は先に届いた人に予約されて全部埋まってしまうので、
結局スタジオの予約が出来ないという事態になってしまうようです。

それに対する対策として、
「一次審査の結果如何に関わらず、先にボイスサンプルを用意しておこう!!」
という作戦に出る方が続出している模様です。

実際問題、この季節は体調を崩しやすく、通知が来る頃のタイミングで、
ベストコンディションである保証はありませんし、
体調が良い時に事前に用意しておくのは、良いアイデアだと思います。

昨年、今年とそういった方が随分増えていまして、
うちでは昨年は通知前、通知後合わせまして、トータル100名以上の方が、
ボイスサンプルの制作にお越しになりました。

ネット検索以外でも、養成所内で口コミで広まっているようで、
頼っていただけるのは本当に光栄でありがたいことだと思います。

声優養成所の生徒さんのボイスサンプルの場合は、
まだ技術的に未熟な方も多く、必要に応じて演技指導やアドバイスを行なっており、
この録音時のナレーション・演技へのアドバイス、ディレクションが、
非常に好評なようでして、こうして大勢の方に来ていただけるのは嬉しいことです。

こういった部分をケア出来るスタジオは大阪では限られるため、
そこに魅力を感じていただけるようでしたら、是非ご依頼下さいませ。

ご依頼の際は、こちらのWEBページの専用フォームからお願い致します。
http://accel-studio.com/
プロフィール

アクセルスタジオ ikenaga

Author:アクセルスタジオ ikenaga
レコーディング・マスタリングエンジニア ikenaga です。
関西を中心に、レコーディング/ミキシング/マスタリング/MA/音声編集・ノイズ除去などの録音業務と、
ジングル・サウンドロゴ・効果音制作などの制作業務を行なっています。

ご依頼・お問い合わせ・お見積もりのご依頼は、
↓のホームページからよろしくお願い致します。

http://accel-studio.com/

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